この度、第35回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会総会・学術講演会を担当させていただくにあたり、旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室員一同ならびに同門会一同、大変光栄に存じます。本学会は毎年2月に開催されておりますが、2月の旭川は車道、歩道共に凍結しているため、なれない方は追突事故や転倒事故に遭う可能性があります。したがって、早春を迎えた4月13日(木)、14日(金)、15日(土)の3日間に開催させていただきました。
本学会は、1983年3月に研究会として発足しましたが、私自身は卒後1年目、第1回から毎回参加し、本学会で育てていただいたと思っています。この度、卒後35年目で第35回の会長を担当することになり、教室員とともに本学会の発展に寄与できるよう全力を尽してきました。本学会は免疫・アレルギー学に関する臨床や研究を主なテーマとしてきましたが、今回のテーマは「耳鼻咽喉科学・頭頸部腫瘍学研究の粋を集めて」とし、免疫・アレルギー学分野のみならず、免疫学的手法・分子生物学的手法・遺伝子学的手法を用いた耳鼻咽喉科学・頭頸部腫瘍学の演題を広く横断的に募集しました。お陰様で、今までで最も多い144題の一般演題をいただきました。演題応募していただいた会員の皆さまに心から御礼申し上げます。多彩な分野の基礎的研究に触れ、新たな刺激を受けることによって会員個々の研究に応用していただきたいと思います。
一般演題144題の他に、特別講演1題、領域講習2題、教育セミナー3題、ランチョンセミナー5題、モーニングセミナー2題、シンポジウム1つをそれぞれ企画しました。特別講演では、米国Georgia Cancer Center-Augusta UniversityのEsteban Celis教授をお招きし、”Designing effective cancer vaccines by mimicking viral infections”と題し、poly-ICをアジュバントに用いた新たな癌ワクチン療法について講演していただきます。また、教育セミナーと領域講習には旭川医大同窓生3名にお願いしました。教育セミナーとしては独協医科大学免疫学講座教授の小端哲二先生(旭川医大4期生)に「自然リンパ球関連サイトカインとアレルギー」、北海道大学大学院先端生命科学研究院細胞生物科学分野教授の綾部時芳先生(旭川医大6期生)に「腸内細菌を制御する抗菌ペプチドα-defensinと疾病」、領域講習として福島県立医科大学微生物学講座教授の錫谷達夫先生(旭川医大5期生)に「サイトメガロウイルス感染症 ~感染疫学と難聴の発症病理~」、そして北海道出身で順天堂大学医学部附属順天堂医院腎・高血圧内科教授の鈴木祐介先生に「IgA腎症の発症・進展における扁桃粘膜免疫異常」を、それぞれご講演いただきます。 シンポジウムは近松一朗教授(群馬大)と小林博也教授(旭川医大免疫病理)の司会のもとで、「頭頸部癌免疫療法のブレークスルー、現状と未来」と題し、4名の新進気鋭のシンポジストに最新の癌免疫療法についてディスカッションしていただきます。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会奨励賞のコンペも4回目になり、8名の若手研究者が応募しました。
4月の旭川は、長い冬が終わり早春を迎え、木々の芽が膨らみ始める生命の息吹が最も感じられる季節です。市の周辺では春をつげるカタクリやミズバショウが咲き、大雪山系では残雪での春スキーを楽しめます。また、近郊のゴルフ場もオープンしたばかりです。さらに、毛がに、ジンギスカン、旭川ラーメン、大雪山の伏流水を使った銘酒など美食にも事欠きません。このような環境のもと、多くの参加者が討論と親睦を重ね、実り多い学会になることを願っています。どうか宜しくお願い申し上げます。